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CALL the ARK

- 別の時空(次元),
アグラスフィアと呼ばれる世界(惑星)。
:Aglassphere(Aglaia's Sacred Sphere).

アグラスフィアはAglaiaの祝福によりバランスを保たれた世界だった。
しかしある日、アグラスフィアは突如としてそのバランスを失い、世界はバラバラに分断された。

この世界の誰もが何故こんな事が起こったのか知る由も無かったが、分断された各地域の王達はアグラスフィアを再結合すべく行動を起こす事を決めた。

アグラスフィアの再結合を実現すべく、先ずは分断された地域同士の接続を試す事にする。

- アークシステム
唯一、地域と地域を接続可能な方法と言われている。
各地域に遺跡として存在するこのシステムは、古代科学書によると古代世界に於いて交通手段として使われていたらしい。
ある地点からある地点へ人や物を瞬時に転移する、俗に言うテレポートの様なシステムであり、Aglaiaの祝福を動力として稼働していたようだ。

このシステムがまだ使用可能かどうか定かでは無いが、このシステムが今起こっている混沌を唯一解決出来る可能性を秘めていた。

- 言い伝え
この世界には5節からなる1つの古い言い伝えがある。
< Call the Ark >
1.想像も出来ない様な混沌が訪れる刻、私の神Aglaiaは彼女の船を呼び起こす
2.船は私をそこへ運ぶ。船は彼らをそこへ運ぶ
3.●▲▲▲■×◆◆×××●▲●▲■■■■■■
4.世界は産まれ、世界は再生する
5.再生が私の上を回る。再々生が私の上を回る

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光流湛えしアルマネスク - EP6.遭遇 -

地面に放り出された三人は身体に受けた衝撃波と打撲に顔を歪ませる。


「二人とも大丈夫か!?」

「…ああ、何とかな。。」

「。。こっちも平気よ。」


お互いの無事を確認しながら、三人は状況を確認しようと身体を起こした。

さっきまであったリトの家が跡形も無く吹き飛んでいる。

後数秒遅ければラズとリトもただじゃ済まなかっただろう。


「。。何が起きたんだ?」


ラズは燃え盛る爆発地点に目をやりながら思考を巡らせる。

何らかの爆撃を受けたのか、又は家の中の何らかの燃料に引火したのか。

燃料に引火しただけでこれ程大きな爆発になるだろうか?


まだ頭がフラフラする。衝撃に脳震盪でも起こしたのかもしれない。


仮に何らかの爆撃を受けたのならそれはどこからのものだ?

報告ではまだ正体不明の軍団からトナン村までは距離があるはずだし、

青白い光が降ってきたなら落ちる前に周辺が光に照らされて明るくなる筈だが。


「二人とも見て!反対側の丘の上に何かいる!」


リリアの示した方向を見ると複数の武装した群がこちらに何かを向けている。

次の瞬間、武装した群れから複数の光が三人めがけて発射された。


「くっ!」

「うわぁぁ!」

「きゃああ!」


さっきの爆発による衝撃の影響で反応する事が出来ない。


「アイアンリフレクション!(鉄盾反射)」


発射された光が三人に到達する瞬間、大地から鋼鉄の壁がせり出し、

光を発射した群れの方へ反射した。


「マルチスラッシュ!(波動連斬)」

「アロー!(魔導矢)」


武装集団に向け立て続けに攻撃が放たれる。

突然の反撃に武装集団側にも多少の被害が出ている様だ。


「お前たち大丈夫か!?」


王国騎士の一人が駆け寄ってくる。カインだ。


「ああ、何とかな。ってか何でカインがここにいるんだ?」

「お前と同じ特務遂行部隊に選ばれたんだ。お前がカセラスからトナン村に向かったと

 報告が上がっててな、トナン村でリリア達とも合流する様指示があったんだ。」

「そうか、それでリリア達もここに来たのか。」

「来るぞ!注意しろ!」


リトとカインの話が終わらない内に武装集団はこちらへ向かって動き出した。


「マシード。相手の数と何者か分かるか?」

「数は30~40と言ったところか、多分、正体不明の軍団の斥候部隊だ。」

「やはり例の軍団か。報告と比べて進軍が早過ぎるな。本部に報告も必要だろう。

 リト、お前達回復薬はあるか?あれば使って、何時でも動ける様にしておいてくれ。」

「私が持ってる。三人分なら十分に足りるわ。」


リリアはそう答えると馬に備え付けていた道具袋から数本の回復薬を

リトとラズに手渡した。回復しつつ三人は撤退準備を進める。


魔導騎士団はマシードを筆頭にローデとリンの三人、征光騎士団はカインとミナの二人。

多勢に無勢ではあるが、騎士団の五人はそれぞれそれなりに名の知れた精鋭だ。


殲滅は難しいかもしれないが、相手の隙を作るだけならこの戦力でも問題無い筈だ。

先程のこちらからの攻撃も相手には通じている様である事から、抵抗が可能と判断出来る。


「無駄な戦闘は避けたいが、状況が状況だ。マシード、やれるか?」

「相手の戦闘能力が未知数だがさっきの攻撃で損傷を与えられてるし、まぁ、

 何とかなるだろ。それにここで多少足止めしておかないと、王国側の作戦にも

 影響が出るだろうしな。」

「よし、じゃあ俺とミナは前線に出て奴らの足止めをする。マシード達はサポートと

 カバーを頼む!」

「了解した。ローデ、お前は千里の鷹を使って戦況を逐一確認報告しろ。

 リンは私と共にカイン達をフォローするぞ。」

「了解です。」

「了解しました。」


それぞれ役割を確認し終わると五人は直ぐに行動を開始した。

カインとミナは抜刀し前線に飛び出す。

ローデは手元から鳥の形をした魔導具を空に放つと魔方陣を展開し、

その上に立体型の地形図を映し出した。

地形図の上には味方戦力敵戦力共に表示されている。


相手軍勢は基本的にフルアーマーの重戦士で構成されている様だ。

先程、光を発射してきたのは多分魔導騎士だろう。数名いると見るべきだが

遠距離からの狙撃を狙っているのだろうか、こちらから視認する事は難しい。


「ローデ、相手の魔導騎士の位置は分かるか?」

「今確認していますが何らかの妨害工作をしている様で、まだ位置特定は出来ません。」

「分かった。リン。距離はあるが、万が一に備えて研究員の三人と我々の範囲に

 シールドを展開してくれ。」

「了解です。」


リンの展開したシールドが魔導騎士とリト達を包み込む。


「行くぞ!初撃で押し返してやる!」

「あっちは単純に前進してるだけだから左右から挟み込むのが有効でしょうね。

 私は左から行く。」

「じゃあ俺は右からだ。行くぞ!」


カインとミナは二手に分かれると敵軍に向けて疾走した。

敵軍は変わらず前進してくる。


「ふっ飛べ!」

「はぁっ!」


前進してくる敵軍を左右で横切る瞬間、中央に向けて挟み込む様に二人同時に

マルチスラッシュを放つ。

フルアーマー達は防御態勢を取れていない、間違いなく攻撃は入る。


二人の剣から放たれた複数の斬撃波が敵軍に襲い掛かる。

衝撃に数体のフルアーマーが後方に弾き飛ばされた。


只、どの程度ダメージを与えられてるかは不明だった。


「こいつら人間じゃないのか!?」


接近して初めて分かったが、鎧を着ているというよりも鎧そのものが外皮の様に

身体を覆ってる様で、鎧の繋ぎ目が確認出来ない。


「甲殻生命体か!?」

「特徴が違う!多分別物よ!」


二人の攻撃を免れたフルアーマーが数体ずつカインとミナへ分かれて向かってくる。

通常の甲殻生命体であれば触角の様な突起物や昆虫の様な目を確認出来るが、

こいつらにはそれがない。


よく見ると鎧に無数の文字が浮かび上がっている。

まるで何かの呪文か呪いに掛けられている様だ。


「何なんだこれは!」

「分からない。でも、まるで魔導の力で動いてるみたい。」


フルアーマー達はそれぞれ手に持ったハルバードで二人に攻撃を仕掛ける。

ある程度の連携が取れていて動きも遅くない。

騎士団内で言えばベテラン重戦士程の戦闘力と言っても過言ではない。


ハルバードと王国戦士の剣が重なり合いぶつかり合い火花が舞い飛ぶ。

二人のマルチスラッシュに弾き飛ばされたフルアーマーが立ち上がり

こちらに向かってくる。


大したダメージは追っていない様だ。


- 力勝負じゃ分が悪いが、あの装甲を何とかするには火力だよな。


「不動斧!」


刹那、赤いアークの鎧がカインの身体を包み込んだ。

カインの肉体自体も先程に比べて筋力が増している様だ。

手に持っていた剣にも赤いアークが迸り刀身よりも大きな赤い斧を形成している。


フルアーマーは構わず向かってくる。


「はぁ!」


ゴバァ!


赤い斧を無造作に薙ぎ払うと、受けようとしたハルバード諸共フルアーマーの

鋼鉄の様な装甲は千切った様に引き裂かれた。

やはり火力で押した方がいけそうだ。

アークブレイクの影響で赤く染まったカインの眼光がより輝きを増す。


フルアーマー達はカインが自分達を破壊出来る事を知るとミナに向かっていた数体も

カイン目がけて集中攻撃を開始した。


「私を無視するとか馬鹿にされたものね。」


ミナは低く身構えるとその力を発揮した。


「エアロスラッシュ!(風裂斬)」


ミナは、カインが囲まれる前にフルアーマー数体の足元にアークブレイクを放つ。

直撃を受けたフルアーマーはダメージは軽微なものの、態勢を崩され行動が鈍化する。

ミナの狙い通り足止めには最適だ。


カインが迫り来るフルアーマー数体を戦闘不能にしていく。

このままいけば、もしかしたら殲滅出来るかもしれない。


「危ない!」


敵軍後方から突如放たれた複数の光がカインに発射された。


「アイアンリフレクション!(鉄盾反射)」


ドゴォン!


マシードはすかさずカインに向けてシールドを展開。

しかし全弾防御には間に合わず、一筋の光がカインの腹部に直撃する。


「うぐぅ。。」


アークの鎧に包まれてはいたが光の威力は予想以上に高く、ボディブローを食らった様な

衝撃がカインを襲った。集中力が途切れた影響でアークの鎧も消失した。


- 戦車の砲弾並みの威力かよ。。聞いた事も無いぞ。。


通常、光を使用した兵器としては貫通型か照射型の二通りしか存在しない筈だった。

物理的衝撃を起こせる光なんて聞いた事が無い。或いは、光の眷族ならば可能かもしれないが。


カインの動きが鈍くなったのを確認するとフルアーマー達は好機とばかりにカインに突撃してくる。

隠れていた相手後衛も今は姿を現し、先程の光の攻撃を続けてくる。


マシードのシールドで何とか光の攻撃は耐えているが、それ程持ちそうにない。


「ミナ!カインを連れて急いで後方に引いてくれ!」

「了解!」


フルアーマーを追い抜いてカインに合流したミナはカインに肩を仮しつつ急いで後退する。


「ハイメルト!(高溶解)」


リンは後退する二人とフルアーマーの間の地面を沼地化させた。

フルアーマーは自重の影響で、殆ど前に進めない。


「これ以上の足止めは無理だ!全員撤退するぞ!」


敵軍の進軍が続く中、リトの所属する特務部隊は突然の初陣を戦線離脱という形で終えた。

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