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CALL the ARK

- 別の時空(次元),
アグラスフィアと呼ばれる世界(惑星)。
:Aglassphere(Aglaia's Sacred Sphere).

アグラスフィアはAglaiaの祝福によりバランスを保たれた世界だった。
しかしある日、アグラスフィアは突如としてそのバランスを失い、世界はバラバラに分断された。

この世界の誰もが何故こんな事が起こったのか知る由も無かったが、分断された各地域の王達はアグラスフィアを再結合すべく行動を起こす事を決めた。

アグラスフィアの再結合を実現すべく、先ずは分断された地域同士の接続を試す事にする。

- アークシステム
唯一、地域と地域を接続可能な方法と言われている。
各地域に遺跡として存在するこのシステムは、古代科学書によると古代世界に於いて交通手段として使われていたらしい。
ある地点からある地点へ人や物を瞬時に転移する、俗に言うテレポートの様なシステムであり、Aglaiaの祝福を動力として稼働していたようだ。

このシステムがまだ使用可能かどうか定かでは無いが、このシステムが今起こっている混沌を唯一解決出来る可能性を秘めていた。

- 言い伝え
この世界には5節からなる1つの古い言い伝えがある。
< Call the Ark >
1.想像も出来ない様な混沌が訪れる刻、私の神Aglaiaは彼女の船を呼び起こす
2.船は私をそこへ運ぶ。船は彼らをそこへ運ぶ
3.●▲▲▲■×◆◆×××●▲●▲■■■■■■
4.世界は産まれ、世界は再生する
5.再生が私の上を回る。再々生が私の上を回る

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光流湛えしアルマネスク - EP5.惨禍 -

「生存者が居たぞ!誰かこっちに来てくれ!」

「ダメだ!火の回りが早い!救助した負傷者を先に被害を免れた病院へ

 連れて行ってくれ!」

「お願い!まだ4歳の子供なの!この子だけでも助けて!」

「救援部隊ははまだか!間に合わなくなるぞ!」

「ママー!ママー!起きてよママー!」


カセラスからトナン村へ続く村道。見慣れた道の上に見慣れない瓦礫の山が

一面に転がっている。


そこら中から黒い煙と炎が上がり、焼け焦げた臭いが辺りに充満している。


村の警備兵や王国軍の救援部隊、また村の動ける者達が必死に負傷者の救出を続けている。

想像以上に被害は甚大な様だった。


そんな非日常的な惨状を横目にリトは息を切らせて走り続ける。


トナン村に近付くに連れ徐々に周りの被害状況は悪化していった。

救助もまだ到着していない。


ただ虚しく、生存者のうめき声や泣き声、誰かを探す声が重なる様に響いている。


普段なら直ぐにでも助けに行っただろう。しかし今は何も考えられない。

不安と絶望に押し潰されそうになりながら、ただ走り続ける。


目の前の坂を越えれば直ぐリトの家が見える筈だ。

産まれてからずっと過ごしてきたあの家が、何時もと変わらない風景が待っている筈だ。


- もう少し。もう少しだ。


陽を飲み込んだ夜の気配が、徐々に世界を暗闇に染め上げていった。



- 考古学研究施設カセラス正門前 -


青白い光の直撃を受けたカセラスでは救助活動が続いている。

重要施設に関しては小規模テラ・シールドにより被災を免れたが、

その他の区画では負傷者が出ている様だ。


「くれぐれも無茶はしない様に。お前達は栄誉ある勅命を遂行する

 義務があるのだからな。」

「承知しています。」


分かり切った事を言うベルに対し、リリアは端的に答えつつラズと共に

出発の準備を進める。


リトが応接の間から飛び出していった後、ハンス局長の命令により

リリアとラズはリトを追ってトナン村へ向かう事となった。


その後、特務遂行部隊に選ばれた騎士団側と合流する手筈となっている。


「馬をこっちへ持ってきてくれ。」


ベルがそう言うと厩舎から二頭の馬が連れて来られた。

馬と言っても生身ではなく、アークエネルギーで駆動する機械仕掛けの魔導馬である。

アグラスフィアでは騎士団や大臣など上級職の移動手段として広く使われている。


所有している場合を除き、通常は考古学研究員クラスが使用する事は出来ないが、

今回はハンス局長からの直接提供という事で使用出来る事となった。


馬を使えばトナン村程度なら直ぐに着くだろう。


「それでは我々は出発します。」

「良い報告を待っているぞ。」


準備を終えリリアとラズはカセラスを後にした。


「急ごう。」

「ええ。」


二人を乗せた馬は速度を上げてトナン村へ向かう。

辺りは既に完全に夜の暗闇に墜ちている。


しかし、いつもの静かな王国の夜はそこには無く、被害地域から立ち上る炎が

篝火の様に王国を照らしている。


中央区に近い被害地域では既に鎮火作業が進んでおり、炎が広がっている様子は

見受けられない。


「これがアルマネスクだなんて、信じられないな。」


眼前に広がる光景に非現実的な感覚を抱きつつ、二人を乗せた馬は闇夜を駆け抜ける。


カセラスを出て程なく、トナン村の外縁が見えてきた。

遠くから見える村は燃え盛る炎によっていつも以上に明るさを増していた。


「まずいな。」


青白い光からの直接の被害もあっただろうが、それ以上に村内を焼き尽くす大きな火災が

二次災害として村に襲い掛かっていた。


村から聞こえてくる悲鳴や助けを呼ぶ声が次第に大きくなっていく。

その声は二人の不安をより大きくしていく。


「急ぎましょう。」


今にも不安に押し潰されそうになりながら、リリアは馬の速度を上げていく。

ラズにはリリアを落ち着かせるだけの言葉が思い付かない。

ただ、リリアを一人にしない様に速度を上げて並走していく。


- くそっ! リト、無事でいろよ!


村に入るとそこら中から立ち上る炎の熱気が二人を一気に包み込んだ。


「きゃあ!」

「まずいぞ!絶対に止まるな!俺たちも炎に巻かれるぞ!」


ラズは炎の熱気にバランスを崩しそうになるリリアを支えながら

炎に塗れた村の中を駆け抜ける。

熱気と炎の眩しさに目を開いているのも辛い。


つい半日前までは王国一平穏な村と言っても大げさじゃない程の村が焼け落ち、

そこに居た多くの人々の命が失われて行っている。


「。。ひどい。。」

「リリア!今は前だけ見て進むんだ!俺達がやらなきゃいけない事だけ考えろ!」


自分を見失いそうになるリリアにラズは必死に呼び掛け、繋ぎ止めつつリトの家へ向かう。

坂道が見えてきた、もうリトは家に着いているだろう。


「リトー!」


坂道を駆け上がりながらリリアは我慢しきれずに叫ぶ。


バキ、ガラガラ、バキバキバキ。


坂道を上がり切るとまた一段と大きな炎がリリアとラズの眼前に広がった。

見慣れた景色の中に見慣れない炎や瓦礫が散乱している。


一番大きな炎が上がっている所がリトの家なのは間違いなかった。


バキバキバキバキ。バン。ガラガラ。


炎に巻かれたリトの家から破壊音や瓦礫が崩れる音がする。

家屋が焼け落ちる音だろうか。


「母さーん!」


「え!?」


突然響いたリトの声に二人は辺りを見回すが見当たらない。


「リトー!どこにいるの!?リトー!」

「リト!何所だ!返事をしろ!」


「母さーん!返事をしてくれ!」


リトにはこちらの声が聞こえていない様だ。


ガラガラガラン。バキ。ゴゴゴ。


「まさか!」


ラズは馬を降り炎に巻かれたリトの家へ駆け寄る。

突然のラズの行動を見て、状況を理解したリリアも顔面蒼白になりながら後を追う。


「おい!リト!いるのか!返事をしろ!」


炎に煽られ家の中を良く確認出来ない。

しかし、風が吹いた瞬間、少しだけ中の様子が垣間見えた。

そこには炎に包まれながら何かを探す人影があった。


「嘘でしょ!」

「くそっ!」


ラズは意を決して半壊しているドアを蹴破り炎に巻かれる家の中に転がり込んだ。


「うわ!」


外気が入ったせいだろう、家の中を燃やし続ける炎の勢いが一気に増した。

炎の勢いが余りに強く、続こうとしたリリアを阻んだ。


「ラズ!」

「リリアはそこにいてくれ!直ぐリトを引っ張ってくる!」


余りの熱気に気圧されながらもラズは家の中を進む。

この家自体、多分あと数分も持たないだろう。


「母さーん!」


寝室だろうか?火が回り過ぎて元々何の部屋だったのか分からない。

火傷と煤に塗れ、ボロボロになったリトは炎に包まれた部屋の中で燃える家具を

懸命に動かしつつ母親を探している。


「おいリト!やめろ!家が崩れるぞ!」

「離せ!母さんを見付けるんだ!邪魔するな!」

「やめろ!逃げるんだ!お前まで死んじまうぞ!」

「うるさい!母さん!どこだ母さん!返事してくれ!」


ラズの静止を無視しリトは母親を探し続ける。

それでもラズは必死にリトを羽交い絞めにして急いで家の外へ引きずり出す。


「くそ!離せ!母さんを探すんだ!」

「今はダメだ!早く出るんだ!」

「二人とも急いで!」


ドゴォォォォン!


二人が燃え盛る家から出た瞬間、突然の爆風が三人を吹き飛ばした。

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