CALL the ARK

- 別の時空(次元),
アグラスフィアと呼ばれる世界(惑星)。
:Aglassphere(Aglaia's Sacred Sphere).

アグラスフィアはAglaiaの祝福によりバランスを保たれた世界だった。
しかしある日、アグラスフィアは突如としてそのバランスを失い、世界はバラバラに分断された。

この世界の誰もが何故こんな事が起こったのか知る由も無かったが、分断された各地域の王達はアグラスフィアを再結合すべく行動を起こす事を決めた。

アグラスフィアの再結合を実現すべく、先ずは分断された地域同士の接続を試す事にする。

- アークシステム
唯一、地域と地域を接続可能な方法と言われている。
各地域に遺跡として存在するこのシステムは、古代科学書によると古代世界に於いて交通手段として使われていたらしい。
ある地点からある地点へ人や物を瞬時に転移する、俗に言うテレポートの様なシステムであり、Aglaiaの祝福を動力として稼働していたようだ。

このシステムがまだ使用可能かどうか定かでは無いが、このシステムが今起こっている混沌を唯一解決出来る可能性を秘めていた。

- 言い伝え
この世界には5節からなる1つの古い言い伝えがある。
< Call the Ark >
1.想像も出来ない様な混沌が訪れる刻、私の神Aglaiaは彼女の船を呼び起こす
2.船は私をそこへ運ぶ。船は彼らをそこへ運ぶ
3.●▲▲▲■×◆◆×××●▲●▲■■■■■■
4.世界は産まれ、世界は再生する
5.再生が私の上を回る。再々生が私の上を回る

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光流湛えしアルマネスク - EP4.それぞれの戦いへ -

「これがそうなのか。」

「はい。その通りでございます。」

「被害の状況はどうなっている?」

「確認次第、ご報告致します。」


青白い光が自分の国に降り注ぐ光景を、謁見の間にあるベランダから

オルルドと数名の大幹部と共にリヒトは険しい表情で見詰めていた。


王国南部に正体不明の軍団が進軍している報告を受けてから間も無く、

青白い光は王国の平穏を一瞬で奪い去った。


王国中央区にも同じく青白い光が落ちて来たが、先の大分裂発生後、

万一に備え中央区全域を守る事が出来る大型防衛システム「テラ・シールド」を

常時発動していた為、中央区は被害を免れた様だ。


テラ・シールドはアークエネルギーを使った魔導防御壁であり、

王都直轄魔導騎士団により発動・運用されている。


通常はテラ・シールドで王国全土を防衛出来るのだが、大分裂後のアークエネルギーの

大幅な減少により、展開範囲は中央区に限定されていた。


防衛施設コロニーは中央区に入るのだが、アークエネルギー消費を極力控える為、

また、物理的に堅牢な防御壁で守られていた為、展開範囲から除外されていた。


青白い光の多くは、人口の特に多い町や村、そしてコロニーに落ちた様だ。

一見、無差別に降り注いだかと思われたが、 青白い光の落ちた地点を確認してみると

明らかに狙って落とした様にしか見えなかった。


遠くから悲鳴や怒号が聞こえてくる。被害地域は完全に混乱に陥っている様だ。


青白い光が発射された南側で爆発音が絶えず聞こえてくる。

正体不明の軍団の進軍が続いている様だ。


「・・・これが運命だと言うのか?運命だから受け入れろと?

 我が国を..我が民を傷付けられて黙っていろと言うのか!」

「お気持ちは分かります。ただ、必要な事なのです。」

「必要な事とは何だ!この惨状を打開する事こそ必要な事ではないのか!?」

「打開する為に必要な事なのです。」

「その方法に頼る事しか出来ない筈は無いだろう!」

「先祖代々、王となられる方は皆運命として受け入れて来られました。」


オルルドは王をなだめる様に冷静な返答を繰り返した。

しかしリヒトは運命とは言え、現実を受け入れられず、怒りを抑える事が出来なかった。

いや、抑えようともしなかった。


「オルルドよ。悪いが私は運命を破るぞ。」

「この国の為でございます。どうかご辛抱を。」

「国の為、そうだな、その為ならどんな冷酷な判断もしなければならないだろうな。

 私は王失格だろうな。」

「何を仰ります。貴方ほど王に相応しい方を私は今まで見た事がありません。」

「はは、嬉しい事を言ってくれる。お前が言うんだから間違いないだろうしな。」


リヒトの決意は固かった。

オルルドはそれ以上何かを言う事は無かった。


「オルルド、私は戦うよ。」

「それが貴方のご決断であるならば、共に参ります。」

「ありがとう。」


無謀な決断である事はその場にいる誰もが分かっていたが、

リヒトの決断に意を唱える者はいなかった。


「王国全軍に通達せよ!晄王ヴァン・ロメル・リヒト13世の名に於いて命ずる!

 王都アルマネスクはこれより侵略者に対し開戦を宣言する!

 各軍司令官及び幹部各位を中央戦略会議室へ招集せよ!」


- 王国征光騎士団集会場 -


王の開戦の通達を受け、全ての師団が集会場に集まっていた。

集まった騎士達は各々の装備を確認しつつ、団長たちが来るのを待っている。

現在、騎士団の上層部は王に招集され戦略会議中との事だ。


「この国で本当に戦争なんて起きるなんてな。」

「この国どころかアグラスフィアで戦争が起こったなんて話聞いた事がないだろ。」

「確かに。でももう既に被害も出てるみたいだし、タダじゃ済まないだろうな。」

「タダじゃ済まないって言ったら、酒場の踊り子やってるケイティーにウチの団長が

 本気になっちゃってさ、会議だって言って夜中ケイティーとイチャついてる所を

 奥さんに見つかって袋叩きに合ったんだよ!翌日の団長の姿って言ったら、

 まるで何か巨大なモンスターと死闘でも繰り広げてきたのかってくらい

 ボコボコで思わず笑っちゃったよ!」

「え!?マジかよ!ケイティーって言ったらウチの後輩も付き合ってるって

 つい最近聞いたんだが!」

「え!?俺ケイティーに最近告白されたばっかりだけど!」

「おいおいウチの騎士団踊り子一人に全滅じゃねーか!」


初の実戦という事もあり多少の不安が入り混じっている会場内では、騎士達がそれぞれ

不安を紛らわす様に他愛の無い会話をしている。

何でもない事で笑い合い、少しでも死の恐怖から逃れられるように。


「相手の情報が殆どない状況で戦うのは不利だろうな。」

「そうね。凄く強力な青白い光を使うことくらいしかまだ分かってないらしいし。」


王国征光騎士団第3師団に属するカインとミナは、盛り上がる騎士達から少し離れた所で

装備の確認を進めていた。


「状況から考えたら、魔導騎士団との共同作戦になるんだろうな。」

「でしょうね。テラ・シールドが青白い光を防いだらしいし、

 魔導騎士団のバックアップがあれば何とかなるんじゃないかしら。」

「逆に魔導騎士団を狙われたらこっちが不利になる訳だから、魔導騎士団を守りつつ

 戦う事になりそうだな。」


カインとミナが対応策について話していると、集会場の中央入口から戦略会議に出ていた

団長達が戻ってきた。

先頭に居るのは第一師団長にして団長統括のスレイ・ニルヴィナだ。


スレイ統括は初の女性師団長であり、王国武技剣技総大会を圧倒的な強さで3連覇し、

その力量とカリスマ性を王に買われ異例の速さで出世したトップエリートである。

その才能と王の寵愛を受けている事から、騎士団内だけに留まらず王国内外の貴族達にも

一目置かれている。


「皆待たせたな。これから戦略会議で決まった事について説明する。

 各師団毎に整列してくれ。」


スレイ統括がそう言うと、騎士達は一斉に静まり師団毎に整列した。

流石に栄誉ある征光騎士団である。一度指令が下れば即座に規律を持って対応出来る。


「王からの勅令が下った!第1~第5師団は魔導騎士団と共にアルマネス南部へ進軍する!

 第6師団以下は中央区の防衛及び被害地域の救援を行う!

 進軍部隊は私、スレイが指揮を執る!

 防衛・救援部隊は中央区統制局局長のヨバ大臣の指示に従うように!

 各師団は団長の指示に従い速やかに出陣の準備を開始せよ!以上だ!」


「は!」


スレイ統括からの説明が終わると、途端に現場が慌ただしくなった。

他の師団よりも動きが遅い事は自分の師団の名誉に関わる為、

この状況で鈍い動きをする騎士は居ない。


「ようやく出発出来そうだな。」

「そうね。魔導騎士団との共同作戦なんて滅多にある事じゃないから少し楽しみね。」

「楽しんでいられるだけの余裕があればいいんだけどな。」


「カインとミナ、ちょっと来てくれ。」


第三師団長のレガン団長だ。屈強な出で立ちで、いかにも団長らしい団長で

団員からの人望も厚い。


「どうしました?」

「今日作戦本部で話に上がったんだがな、数日前に王からの勅命の特務遂行部隊による

 アークシステム起動作戦について通達があっただろ?

 まだ征光騎士団側は人選中だったんだが、今回の作戦と同時進行する事になってな。

 そこでお前たち二人にはその任務に着いてもらいたいんだ。」

「了解しました。しかし何でまた俺たち何ですか?」


カインの疑問は当然だ。

これだけ多くの師団・団員が居るのにも拘らず、自分達が選ばれる理由は見当もつかない。


「勿論、戦闘力の部分で信頼を置ける事が最優先であるのと、数部隊の編成が必要な事から

 他の幾つかの師団からもそれぞれ別途選任されている。

 なのでお前達だけが選ばれた訳では無い。

 この師団からお前達を選んだのは今回お前達が参加する特務部隊に選任された考古学者が

 お前の友人だったからだ。リトと言ったかな?」

「リトが選ばれたんですか?」

「いや選ばれたと言うか正確には立候補だったらしい。リリア・エストライデンと

 二人の選任となっている。」

「リリアもですか!?」


リトとリリアはカインの幼馴染で幼少の頃から家族ぐるみの付き合いがある。

カインは騎士団へ、リトとリリアは考古学研究へと進んだが、

今でも度々お互いの家を行き来している。

カインと違い二人は危険な事とは無縁な生活を送っていた為、

敢えて危険の伴う任務に立候補するとは想像もしていなかった。


「数時間前に発射された青白い光によってカセラスやコロニーに被害が出た様なのだが、

 その後、リト・トランデールは消息を絶っているらしい。

 どうやら被害のあったトナン村に向かったらしいのだが詳細は不明だ。

 現在、リリア・エストライデンともう一人別の考古学研究員が後を追っているらしい。

 幸いまだ正体不明の軍団からトナン村までは距離があるようだが、

 同じく王国の南側に位置しているので時間的猶予はそれ程無い。

 お前達二人は準備が出来次第、同じ特務部隊に選任された魔導騎士達と合流の上、

 リト・トランデールを保護し、その後そのままアークシステム起動拠点へ

 向かってくれ。」


「トナン村にも被害が。。了解しました。もう準備は出来ているので、

 直ぐに向かいます!」


リトがトナン村に向かっているのは疑い様が無い。カインとしてはリトも心配だが

リトの家族が無事なのかがより心配だった。


「もう魔導騎士達は正門前に来ているらしいから、直ぐに向かってくれ。

 何かあれば至急報告する様に。頼んだぞ。」

「了解しました!」


青白い光が王国に降り注いでから数時間。日は落ち、夜の気配が増していく中、

カインに課せられた特別任務は実に流動的な形で開始された。

― 飛空調査艇フライングフィッシュ
  書記係AnkE

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