CALL the ARK

- 別の時空(次元),
アグラスフィアと呼ばれる世界(惑星)。
:Aglassphere(Aglaia's Sacred Sphere).

アグラスフィアはAglaiaの祝福によりバランスを保たれた世界だった。
しかしある日、アグラスフィアは突如としてそのバランスを失い、世界はバラバラに分断された。

この世界の誰もが何故こんな事が起こったのか知る由も無かったが、分断された各地域の王達はアグラスフィアを再結合すべく行動を起こす事を決めた。

アグラスフィアの再結合を実現すべく、先ずは分断された地域同士の接続を試す事にする。

- アークシステム
唯一、地域と地域を接続可能な方法と言われている。
各地域に遺跡として存在するこのシステムは、古代科学書によると古代世界に於いて交通手段として使われていたらしい。
ある地点からある地点へ人や物を瞬時に転移する、俗に言うテレポートの様なシステムであり、Aglaiaの祝福を動力として稼働していたようだ。

このシステムがまだ使用可能かどうか定かでは無いが、このシステムが今起こっている混沌を唯一解決出来る可能性を秘めていた。

- 言い伝え
この世界には5節からなる1つの古い言い伝えがある。
< Call the Ark >
1.想像も出来ない様な混沌が訪れる刻、私の神Aglaiaは彼女の船を呼び起こす
2.船は私をそこへ運ぶ。船は彼らをそこへ運ぶ
3.●▲▲▲■×◆◆×××●▲●▲■■■■■■
4.世界は産まれ、世界は再生する
5.再生が私の上を回る。再々生が私の上を回る

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光流湛えしアルマネスク - EP3.強襲 -

― 考古学研究施設カセラス内、応接の間 ―


応接の間の前に着くと、一人の研究員とカセラス事務員が立ち話をしていた。

他の講義堂からの立候補者だろうか。


カセラスでは研究員たちの講義等を行う5つの講義堂、各研究員の研究成果発表を

定期的に行う中央講義堂、複数の研究施設等を中心に構築されている。

元々は考古学についての研究施設として建設されたが、

農耕・天文・気候・異文化・工学等、今では様々な分野の研究に利用されている。


カセラスでは毎年、各研究分野毎に数人~十数人の研究員を入所させている。


入所倍率はその年その分野によってマチマチだが、一部の分野を除いてかなり高く、

希望した分野への入所が出来る者はごく一部である。


リトとリリアは考古学研究分野を希望し入所した。

一見優秀な結果に見えるが、考古学分野はその地味さ及び他の分野よりも

古くから研究されてきている為、かなり研究され尽していて新しい発見をする事が難しく、つまりは評価され辛い。


その為、他の分野と比べるとかなりの不人気となっており、

考古学分野だけはほぼ全入となっている。


しかし、リリアに至ってはそもそも優秀な成績だった為、

他の分野からの誘いが絶えなかった。


その誘いを断ってまで一番人気の無い考古学分野に入所したのは、

言うまでもなくリトのためだった。


「お、リトじゃないか!お前も立候補するのか?」


第一講義堂からの立候補者、ラズだ。第一講義堂の考古学研究員の中でも随一の実力者で、

ほぼ新しい発見が難しいとされているこの分野に於いても日々結果を出し続けている。


言わばトップクラスのエリートで、次期上級研究員候補だ。


リトとは比べようもない存在だが、何故かよくリトに絡んでくる。

実績に関しては段違いだが性格的には気が合うので、たまに一緒に

ランチに行ったりする事があった。


「ああ、こっちの講義堂では他に立候補者が居ないみたいだったし、

 ちょっと興味があったからな」


「リリアも一緒なのか?立候補者は一人だと聞いたけど。」


「。。色々あるんだよ。」


「。。そうだな、世の中色々あるよな。」


ラズはリトの表情から何かを察してか、それ以上突っ込んで聞いてくる事は無かった。

リリアの表情を伺うと、リトとラズの会話は無視して応接の間の扉を無言で、

そして真顔でじっと見つめていた。


ラズの他には他の講義堂からの立候補者は来ていない様だった。


- まぁ、普通に考えたら立候補者がいる方が凄い事だからな。


待つ事2時間余りだろうか、ようやく応接の間に通された。

どうやら開示可能な限りの情報共有をカセラス事務局の上層部と行っていたようだ。

あまり見る事の無いカセラス上層部の面々が入れ替わりで応接の間から出て行った。


応接の間に入ると、上級職の中でも特に上のクラスが羽織る装束を纏った老人が

応接の間に据えられたソファーに腰を下ろし、テーブルの上の書類に目を通していた。


先程、講義堂で説明をしていた局員の上司だろうか。

何処かで見た覚えのある様な顔だったが、応接の間に通された3人には

直ぐには思いつかなかった。


「大分待たせてしまったようですまなかったね。少し君たちの上司達と

 話さなければならない事があったのでね。

 私は王国古代研究局局長のハンス・ミゼットだ。」


「ハン。。え?」


応接の間に通された3人はその人物の名前に驚きと共に言葉を失った。

それもその筈、王国古代研究局局長のハンス・ミゼットと言えば教科書で習うレベルの

偉人であり、古代研究分野に於いてアルマネスクの中枢である。


言わば現在の考古学研究員は皆、彼を目指して日々研究に励んでいると言っても

過言ではない。


王国内でも相当な立場の人物であるにも拘らず直接このカセラスに出向くのは、

今回の話がどれだけ王国として重要であるかを自ずと示していた。


「立候補者は君たちだけの様だね。まぁ、仕方がない。他の講義堂については

 こちらで選定しよう。君たちの所属を教えてくれるかな?」


「僕はリト・トランデールと言います。所属は…」


「それは私、ベル・リファードがご説明致します。彼はリト・トランデール。

 第二講義堂所属の一般階級考古学研究員です。」


リトの言葉を遮ってハンス局長の右手に立っていたベルが説明を始めた。

カセラス事務局員で出世欲が強く、上に媚を売る事が得意な人種だ。


簡単に言うと嫌な奴だ。


リファード家はそもそも貴族の遠戚に当たる家柄の為、一般階級ではあるが

限りなく貴族階級に近い立ち位置となっている。

その為、一般階級の多いカセラスでは常に研究員を見下した態度を取っている。

家柄的に注意する者が居ないのも一因ではある。


「続きまして彼女はリリア・エストライデン、トランデールと同様に第二講義堂所属の

一般階級考古学研究員です。しかし、実績面では第二講義堂の中でも上位です。」


- …一々一般階級って付けないと説明出来ないのかよ。。


「最後に、彼はラズ・アクリテス。第一講義堂所属の考古学研究員で、

 次期上級研究員候補になる程優秀な研究員です。」


流石と言うべきか、今後昇進が見込まれている優良株に対してはしっかりと

良い関係を作っておこうと言う意図が透けて見える。


「説明をありがとう。さて、一つ疑問なのだが、各講義堂には一名ずつ立候補者を

 募った筈だが、何故第二講義堂からは二名の立候補者がいるのだろうか。」


「それは私がご説明します。」


リリアはやはり緊張しているのだろうか。自然と手に力が入っている様に見える。


「元々はリトが立候補を申し出たいという事でした。しかし、今まで私とリトは

 常に研究を支えあってきました。

 なので、二人で対応させて頂いた方がより良い結果になると考えたからです。」


「なる程、君の考えは分かった。トランデール君。君は彼女が言う事について

 同意見かね。」


質問を振られたリトは、答える前にリリアの様子を伺う。緊張した面持ちで

ハンス局長の判断を待っている様だ。

ここでリリアと違う意見だと言っても、結局色々な意味で面倒になる事は目に見えていた。


「はい。同じ意見です。僕もリリアと一緒に行動した方が良いと思っています。」


リトの返答を聞き、ハンス局長は少し思案を巡らせたが、

判断までにそれ程時間は要しなかった。


「ふむ。まぁ、今回の件については王より頂いた勅命を完遂する事こそが重要であるし、

 その為の多少の変更は不問とされるだろう。分かった。第二講義堂については

 二名の参加という事で許可しよう。」


「ありがとうございます。」


リリアはそう答えると、局長から許可を得た事に安堵の表情を浮かべていた。

リトとしてはリリアに危険な事が起こるかもしれない為、素直に喜べない所だが。


「他の講義堂については選定の後に別途、今回の任務について説明する。

 今ここにいる立候補者の君たちにはこのまま任務について説明しよう。」


「その説明に関しましては、私からさせて頂きます。」


- ベル君。。君、本当ここぞとばかりに出しゃばるよね。そういう所だからね。

 嫌われるのって。。


リトが心の中でベルに突っ込んでいる中、ベルの説明が始まった。


- リヒト王からの勅命について -


さっき講義堂内で局員が告げた通り、今回はアークシステムの起動が主な任務だ。

考古学研究員を加えた特務遂行部隊を数部隊編成してアークシステムの起動が

行える場所へそれぞれ部隊毎に向かう事になる。


部隊を複数編成する理由としては、簡単な話、他の部隊が任務遂行不可能になっても

他の部隊で達成出来る様保険を掛けている事に他ならない。


任務遂行不可能。つまり、人的被害が出る可能性が極めて高い任務という事になる。


それ程までに危険な地域がこの王国付近に存在するという話は一般的には存在せず、

説明を聞いている3人も今一腑に落ちないでいた。


その3人の思いを感じ取ったかの様にベルが説明を続ける。


「今までこの王国や王国付近での危険地域についての話は多分聞いた事が無いだろう。

 何故なら、先に発生した大分裂前まではそんな危険は存在しなかったんだ。」


「つまり大分裂後に【何か】が起きたって事ですか?」


リトの質問にベルが肯定する様に続ける。


「そうだ。実際には大分裂の前からその事象は確認されていたのだが、

 王国征光騎士団による調査段階でしかなかった。実害も数件関係性が

 疑われるものがあったに過ぎず、王国民への周知に至る前段階だったのだ。」


ベルの説明が続く。


「しかし、大分裂後に明確な1件の報告が王国の治安を統括する騎士団が上がってきた。

 これがその時に提出された報告書の写しだ。」


ベルは、手に持っていた書類の中から数ページからなる報告書を差し出した。


・・・ドンッ!


3人が報告書を見ようとした瞬間、重い衝撃音と振動が応接の間に響いた。


「え?」


不意を突いた突然の出来事に局長を除く全員があっけに取られ、

応接の間の中が一瞬静寂に包まれた。


その静寂を打ち破る様に応接の間のドアが乱暴に開いた。

カセラスの事務職員だ。真っ先に状況を伝えに来たのだろう。

息を切らせつつ顔は酷く強張っていた。


「何事だ!局長のおられる応接の間と分かっているのか!」


自分の動揺を誤魔化す様にベルが事務職員へ叱責する。


「ご無礼を申し訳ございません!報告します!王都アルマネスク南部に於いて

 正体不明の軍隊が突如出現し、王都に向けて攻撃を開始した模様です!」


「な。。!?」


余りに想定外な報告にベルは言葉を詰まらせる。

瞬間、応接の間は窓から突然射し込んだ青白い光に包まれた。


窓の外を見ると、普段と変わらない夕刻の景色が広がっていたが、

その景色を切り裂く様に十数本の青白い光の筋が天高く昇っていた。


「クルルルルルル!」


さっきの衝撃で目が覚めたのか、起きてきたマピーがリトの鞄から降り、

青白い光を威嚇している。


非現実的な風景に全員どうして良いか分からずその光景を眺めている中、

ソファーから腰を上げた局長だけは全てを悟った様な表情でその景色を見据えていた。


「...盾よ。」


右手をかざした局長が呟くと、部屋に居た全員を覆う様に半透明な被膜が展開された。

次の瞬間、先程とは比べられない程の衝撃と轟音が轟いた。


ドゴォン!ゴゴゴゴゴゴゴ.....


「うわぁぁぁ!」

「きゃぁぁ!」


リトとリリアはその衝撃に思わず悲鳴を上げた。


状況が把握できない。


よく分からない光景を見た後、一瞬の内に応接の間の外壁や天井に大きな衝撃が

走ったのだろう。大きくヒビが入り、一部崩落している。


応接の間に居た者達は半透明な被膜のおかげでほぼ無傷で済んだ様だ。

ただ、その衝撃にその場に立っていられた者は局長以外には居なかった。


立ち上がり、外の状況に目をやると、信じられない光景が広がっていた。

いつも通りの見慣れた、緑に恵まれたアルマネスクの風景はそこには無く、

そこら中から黒煙や炎が立ち上っている。


まるで空襲を受けた後の様な光景だ。


特に大きく炎が立ち上っている地域が目に付いた。慣れ親しんだ場所だからに他ならない。


「母さん!!」


「待って!」

「リト待て!今動くのは危険だ!」


ラズやリリアの静止を無視し、リトは無我夢中で走り出した。

嫌な予感がする。あの炎にまみれていた場所は間違いなくリトの家のあるトナンだ。


状況が何も分からないまま動くのは無謀でしかないだろう。

しかしこの時、リトは何かを冷静に判断する事など出来はしなかった。

― 飛空調査艇フライングフィッシュ
  書記係AnkE

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